本来ストレスとは、動物が危険から身を守るための交感神経を中心にした体全体の生存防衛反応でした。ところが現代人は常に頭の中で危機感を持ちこのシステムが働きっぱなしになっています。こうしたストレス過剰の状態だと、血管の内側の内皮細胞にコレステロールが溜まるようになって動脈硬化が起こり、そこで血が固まって血栓症を起こします。これが心臓に起これば心筋梗塞、脳に発生すれば脳梗塞となるわけです。これに対して、お酒には血管を拡張して血液の通りを円滑にする働きがあり、血栓症を予防してくれるという大きな効能が認められています。糖尿病のひきがねともなるやっかいなストレス。現代の医学では、万病の元ともいえるこのストレスを、いかに解消し慢性化を防ぐかが大きな課題とされていますが、お酒は明らかにストレスに関連した疾患の数を減らしてくれるのです。適量の飲酒がもたらす大きな効果、ストレス解消にはお酒が良いという由縁です。

回答者:高田明和さん
1935年、静岡県出身 医学博士
浜松医科大学教授・日本生理学会・血液学会・臨床血液学会評議員