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日本酒スタイリスト 木村 克己
日本酒・目からウロコの話 6月号

「日本酒と器の関係 その1.グラス」

「器」について

人類が造り出した道具の中で、古いものの筆頭は水を汲み飲む為の器ではないでしょうか。
それは貝殻や牛などの大型動物の角、骨、植物の葉や実、種の穀を始め、木器、竹や漆器、陶器・磁器、金属器、ガラスへと素材は移り、酒を奉じ、味わうための酒器が色々工夫・考案されて来たと考えられます。日本酒は、世界の中で最も多種多彩な素材と、形状の器で楽しまれていると思います。

器の機能

お酒を味わうための器に求められる機能として、まず安定感があること、
水が漏れないことが挙げられますが、中にはこれをあえてくつがえした「可盃(べくはい)」や「穴あき杯」もあります。これは相手に無理矢理に酒を飲ませる事を目的にしています。
次に注がれたお酒の色艶が観察できること。ある必要量を注げること。器の開口部が少なくとも3cm以上の径があること(注ぎ易い、香りがかげる、唇になじむ、洗浄が容易)。さらにある種の美観や清潔さが保持でこることなどが求められます。

日本酒と器

そお酒は保管、運搬、展示などの目的で壜に詰められています。このまま「ラッパ飲み」にすることもできますが、質の良い酒は、やはり他の飲用器に注ぎ移してこそ真価を発揮するものです。こうすると器の中では、まず温度の変化が起こりながら空気中の酸素と反応してゆきます。器の材質や容量、注ぐ量、器と酒のもともとの温度と、注がれたお酒の表面積の広さによって大きな差が出来ます。

器の中で起こる香りと味の変化

お酒は一般的に温度が大気温になじみつつ、空気と触れることによって、短時間の内に香りの華が開き、味わいはまるくなってゆきます。実はこのような変化を楽しむことも日本酒本来の面白さなのです。

器の形状と「口」の関係

人は幼児の頃から、器の形状や大きさ重さ等と、中身の量や熱さから、無意識に推測して、器に対する唇の形を変えるものです。例えばラーメン鉢とストロー、小さな猪口と大ぶりな風船形のワイングラスを較べてみると解ります。以上のような事から、唇の形が「ア」の口、「ウ」の口、「エ」の口、「オ」の口に分類できます。舌のどの位置にどれくらいの量のお酒が、どの範囲に流れてゆくかによって、同じお酒がかなり違った味わいになってしまいます。また、器の開口部の厚み、薄さもお酒の舌触りや快適さに影響を与えます。

家にある色々な形のワイングラスやカップなどで、お好みのお酒を試してみてください。きっと新しい発見があると思います。
器はきれいで、臭気のない事を確認してから始めてみましょう。

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