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日本酒スタイリスト 木村 克己
日本酒・目からウロコの話 1月号

「燗のサイエンス その3.お燗の技法2」

「日本酒を燗につける」皆さんそれぞれに「あの方法」思い浮かべることと思います。さて本当に「あれ」だけでしょうか?、考えてみるとにしましょう。

ずばり言って、日本酒を何らかの道具を用いて加温する方法には、大きく分けて、6+1の技法が挙げられます。(12月号参照)
その1. 直火燗(既説)
その2. 湯煎燗(既設の続き)
同銘柄、同一の瓶から徳利に注ぎ替えた日本酒を湯煎にかけ、同一温度に設定したとしても、

1.水から沸かしてゆく

すると、あまりにも時間をかけて、ダラダラと温度が上がってゆくために、お酒の香り成分(数百あると言われ、それぞれの揮発点や沸点が異なる)が、ほとんど抜けてしまうことになり、何やら気の抜けたような結果になります。ですから、吟醸酒などの香りがあるお酒には向かない方法だと思います。

2.ぐらぐらの熱湯につける

これは、徳利が急速に加熱されて、その内壁に接している部分のお酒に過加熱が(ヒ-ティング)起こりアルコ-ル臭が鋭く立ってしまうことになります。ですから、同一の酒でも非常に「カッと辛い」印象になります。また、徳利引き上げた後も燗が進んでしまう、徳利の首部が熱く持ちづらいといったことも派生してきます。

3.その中間、約80℃手前位の湯温を維持しながらそこに浸ける

この方法の利点は、1よりも速く加熱されるのですが、アルコ-ルの揮発し始める温度より低い状態で燗が行なわれて行きます。まずは徳利自体が温まり、その熱がじんわりと、しかし確実にお酒に伝わり過加熱は引き起こしません。
ですから仕上がったお酒は、1や2とは相当に違った「まあるい」味わいなのに、香味全般が明確になって感じられるから不思議です。そんな微妙な差異は、素人には解らないでしょう?、、、そんなことは有りません。私は多くの様々な方々に試して頂きましたが、どの方も3を支持されていました。
「燗をつける」これに手間を惜しんではいけない、と思いますし、上手に美味しく燗をして差上げることは、つまり「愛情を表現する技術」だと言えます。

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