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本格焼酎と泡盛
コラム「本格焼酎&泡盛・産地巡り」
   
第6回 琉球王朝、歴史の香り
 本格焼酎発祥の地、南国沖縄にやってきました。東京からの距離約2000km、飛行機で約2時間半、あっという間に着きました。那覇空港に降り立つと生ぬるい風にしとしと小雨。4月下旬、梅雨前のカラッとした沖縄の太陽を期待していたのに残念です。
 
オスのシーサー、幸せを吸い込むために大きく口を開ける
オスのシーサー、幸せを吸い込むために大きく口を開ける
 さて、琉球王朝時代中頃の17世紀の初めから、首里城周辺の首里三箇(さんか)と呼ばれた鳥堀、赤田、崎山の3つの地域で、王府の命を受けた焼酎職だけが泡盛を造ることが許されました。日本最西端の駅・那覇空港駅から2年前に出来たばかりのモノレール、「ゆいレール」に乗って三箇地区である首里駅に向かいます。首里に着く前に、沖縄の地理と泡盛の歴史について少しお話したいと思います。
 
 日本列島の南西方向にあたる沖縄県は、総面積約2,274・(神奈県とほほ同じ広さ)、広大な海域に飛石のように点在する160島(有人島は40島)の島々から成り立っています。距離にして約1,200km。東京から九州まですっぽりと入ってしまうほどの広さです。北は日本本土や朝鮮半島、東は中国大陸、南は台湾やフィリピンなどに囲まれる場所に位置します。このため海外交易の歴史は早くから始まり、琉球が北山、中山、南山の3つの勢力に分かれていた三山(さんざん)時代(1322頃〜1429)の終わり、もしくは琉球王朝時代(1429年に南方の権力者、尚巴志(しょうはし)が琉球国家を統一し、1879年に琉球処分により沖縄県が誕生するまでの450年間)の始めに伝来した蒸留酒が泡盛の起源と言われています。『李朝実録』の1477年の条には「那覇には清(琉球産焼酎)、濁(口かみ酒)の酒と南蛮酒があった。清の酒の味は朝鮮の焼酒に似ていた」という記述があり、その頃にはすでに琉球産の焼酎、泡盛の原型が出来ていたのではないかと考えられます。その後1609年に薩摩(島津)の侵略による島津への実権の移行後、首里三箇ができ、泡盛に対する王家の管理が厳しく行われました。これは島津支配により江戸幕府への泡盛の上納が義務付けられたためではないでしょうか。その頃、首里三箇には約40家の焼酎職があったと言われていますが、2005年現在わずか3つの蔵元が残るのみです。
 
 那覇空港から27分で首里駅に到着。レール位置が高く、眺めの良い小旅行となりました。駅を降りると、雨のせいか人がまばらで、心静かに琉球王朝の歴史の香りを感じる事が出来たのです。

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