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本格焼酎と泡盛
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第9回 昔の文献にみる本格焼酎&泡盛(9)
 いよいよ師走、「今日も忘年会だよ」と嬉しいような困惑したような挨拶を交わすのも、この季節の風情と言えるでしょう。美味しい酒を前についつい鯨飲してしまい、二日酔い…などということがないように、今回はちょっと感心させられる対馬の宴の様子をご紹介しましょう。

 対馬は麦焼酎で有名な壱岐島の北側に位置し、江戸時代は対馬藩として、朝鮮通信使を迎える最前線の地として知られていました。
  その対馬藩の藩士・中川延良が遺した聞き書き『楽郊紀聞』(らくこうきぶん)には朝鮮の話題をはじめ、土地の風俗が事細かに記録されています。そのなかから、仁田村の人々の神詣りについての記述を読んでみましょう。
  「兼て用意の酒肴、砂糖は奢と戒める、下知を守りて…握り小豆の蕎麦粽(ちまき)、蜜焼酎や握飯、昔の人の諭ゆゑ…明日の公役や農業に、障らぬように心得て、今日に乗じて酒を呑めども、酒に乗じて興をば呑ず」。
延良の聞き書きのなかには蜜焼酎のほかに白砂糖焼酎があり、ハレの日に味わうものであったようです。ただ村人としては砂糖が贅沢品と戒められているため、蜜焼酎が精一杯だったのでしょう。
  感心なのは、たっぷりのご馳走と焼酎を前に、“神詣りした今日、ハレの日に乗じて酒を飲むが、酒に乗じて興におぼれない”という一文です。“今日”と“興”がかけてあるシャレは茶目っ気たっぷりですが、労働に差し支えないようにという堅実な村人の生活がしのばれます。

 日暮れと共に、上戸が下戸に手を引かれて帰る平和な光景で、神詣りの見聞は終わりますが、今に生きる私たちも、こうした穏やかで健康的なハレの日の酔いを、目指したいものですね。
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