糖尿病という病気は、血液中の糖分をエネルギーに変える働きをするインスリンというホルモンが不足するために、摂取した糖分が有効に利用されずに血液中に増えてしまう病気です。遺伝のほかに、食べ過ぎや運動不足による肥満、ストレスがきっかけとなって発病し、放置すると恐ろしい合併症が出現します。日本では最近患者数が急激に増加しており、特に四十歳以上の人は精密検査で一割程度見つかります。ところで、糖尿病には日本酒の糖分がよくないとか、日本酒はカロリーが高いから、などという人がいますが、日本酒と糖尿病には直接的な関係はありません。アルコールはlgにつき7キロカロリーあり、これはどんなお酒でも同じで、摂取カロリーは飲んだお酒に含まれるアルコールの量に比例します。糖尿病の予防には、なによりも、一日に取る食べ物その他の総摂取カロリーの抑制と適度な運動が必要です。それらに注意し、おいしいお酒を楽しみましょう。

回答者:岡部正さん
1953年、東京都出身 医学博士
亀田総合病院副院長 岡部クリニック院長
日本内科学会評議員
日本糖尿病学会認定指導医