いろいろな効果が期待できる飲酒に、さらにいっそう楽しむための工夫があったら、その効果も倍増することでしょう。これは酔いの研究をするための実験の話ですが、鼠が自らの意思でお酒を飲む仕掛けを作るのに大変に苦労しました。無理に飲ませたり注射するのでは、自然の酔いにはならないんです。試行錯誤の末、おそらくこれは世界でも初めての成功例だと思いますが、落ち着いた色彩の所で、多少照明を暗めにし、室温を少し低くする、そして雄と雌とを一緒にしてあげる。すると、鼠は自分から飲みだし自然に酔いはじめました。人間にとってもこれはまったく同じことがいえます。つまり、お酒は落ち着いた雰囲気で、決して一人ではなく、仲間(できれば異性)と一緒に、気楽に、料理を食べながら飲むこと。それが、もっともお酒がおいしい飲み方ということになります。ただし、お互いに無理強いやイッキ飲みはしないし、させない。適量をそれぞれのぺ-スで楽しみたいものです。

回答者:古村節男さん
1933年、山口県出身 医学博士
京都府立医科大学医学部法医学教室教授
前日本アルコール医学会理事長