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本格焼酎と泡盛
春秋謳歌 -南からの焼酎便り-
   
- 第5回 -
第5回 蟹江松雄先生の胸像建立
  今年の秋はひときわ紅葉が美しい。色鮮やかな落ち葉の上を馬がポッコポッコと歩いていく。農学部ならではの光景である。馬の散歩道の一角に焼酎学講座の研究棟、北辰蔵がある。和風の建物は学内の名所になったとみえて、見学者がよくやってくる。この北辰蔵の前に真新しい胸像が建立された。ブロンズ製の胸像の台座には「夢を持つ人を私は美しいと思う 蟹江松雄」の文字が刻まれている。
 
 蟹江先生の名前を鹿児島の焼酎関係者で知らない人はいない。先生は昭和21年、鹿児島大学農学部の前身である鹿児島高等農林専門学校に農産製造学・発酵学担当教授として赴任され、終生のテーマとなる「悪臭を除き、世界に通用する焼酎」の研究に精力的に取り組まれ、
蟹江松雄先生胸像
蟹江松雄先生胸像
今日の焼酎発展の礎を築かれた人である。昭和50年1月から昭和56年1月まで鹿児島大学学長の要職を務めたが、学長退任後もその情熱は衰えることなく、昭和61年には焼酎技術史のバイブルともいえる名著「薩摩における焼酎つくり五百年の歴史」を上梓され、その後先生の薫陶を受けた技術者とともに、「福山の黒酢」、「肥後の赤酒・薩摩の地酒」を、平成13年2月、89歳でお亡くなりになる直前まで「鹿児島の本格焼酎」、「鹿児島の伝統製法食品」など先生なくしては生まれなかった著書の執筆と後進の指導に精魂傾け、また、焼酎を世界の酒にしたいという先生の強い思いは平成9年、「焼酎アジアフォーラム in 鹿児島」として結実し、その大きな反響はWTO酒税紛争敗北後の焼酎業界に大きな自信を与え、復権の大きな原動力となったことはまだ記憶に新しい。

 南九州の地酒にすぎなかった焼酎の素晴らしさを啓蒙し続け、夢に向かって邁進することの大切さを身をもって教えられた先生のご尽力に報いるべく、今年6月末、北辰蔵が完成したのを機会に、教え子や同僚、焼酎関係者などの寄付により胸像が建立されたものである。終生、蟹江先生を魅了し続けた焼酎の奥深さを後進に知ってもらいたいとの思いを込めて。
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